サッカーの母国であるイングランドには無数のサッカークラブがあり、首都であるロンドンにも複数のクラブがありました。プレミアリーグで優勝するクラブがある一方で、チェルシーは成績イマイチで、存在感が薄いクラブという印象でした。
しかし、あるときを境に状況が一変します。
それは2003年のことで、ロシアの石油王がクラブを買収してオーナーに就任したときから変化が起こりました。オーナーのポケットマネーによって優れた選手と監督を獲得できるようになり、一躍プレミアリーグの優勝争いをするクラブに生まれ変わったのです。オイルマネーを背景にしたクラブは、突如として降って湧いたお金に戸惑い、知名度だけは高いピークを過ぎた選手を獲得することがありましたが、チェルシーは選手の獲得を統括するスタッフが優秀だったこともあり、監督の意向に沿った選手を獲得できていました。
その成果が実を結び、2004-2005シーズンには50年ぶりのリーグ優勝を飾り、その後もプレミアリーグとチャンピオンズリーグをたびたび制覇しています。
その流れは現在でも続いており、チェルシーはイングランドにおける強豪クラブの一角としてロンドンで最も注目されるクラブになっているのです。
サッカー界の王者 レアルマドリード
ヨーロッパサッカーといえば、4大リーグが有名です。4大リーグの中で、実力も人気もトップなのがスペインのリーガ・エスパニョーラです。リーガ・エスパニョーラには、ヨーロッパでも人気が高いスター選手が集まっているレアルマドリードが属しているリーグです。
1902年に創立されたレアルマドリードは、最多優勝記録を持ち、名実ともに世界でも最高のサッカークラブとして知られています。
人気スター選手を多く擁していることもあり、経営収入は世界一のサッカークラブです。ブランド力があり、豊富な資金力で多くの大物選手を獲得してきました。
他のサッカークラブに先駆けて、プレシーズンのワールドツアーを採用したことで、多くの資金を得ています。多くの選手の肖像権をクラブが持っているため、グッズの売り上げ以外にも巨額の収入があります。リーガ・エスパニョーラの放映権も約半分ほど入ってきます。
日本でも昔から根強いファンが多く、日本語による公式サイトも人気があります。
2017年の移籍マーケットでは、若手選手を多く獲得して補強し、大きな話題となりました。その一方で、長年レアルマドリードを支えてきたハメスやモラタなどが、他のクラブへ移籍しています。
サッカー界の王者 レアルマドリード
サッカーにおいて、一番の醍醐味はゴールです。また近年攻撃サッカーが見直されていることもあって、メディアが注目するクラブの選手補強も攻撃の選手に集まっています。しかしヨーロッパの主要リーグで、2017−2018シーズンに優勝した、強豪クラブ「ユベントス」、「マンチェスター・シティー」は共に攻撃陣よりも、実はDFの補強により予算をかけているのです。この背景にはやはり強固な守備ができてこそ、攻撃が活きるというサッカーの基本があります。
イタリアのユベントスは2018−2019シーズンが始まる前にイタリア代表のレオナルド・ボヌッチをACミランより買い戻しています。またマンチェスター・シティも守備の強化を重視しています。マンチェスターシティは2017−2018シーズン中、クラブがリーグ戦で首位を独走している状況でも、監督グアルディオラはスポーツディレクターにCBの獲得を要望していたのです。マンチェスター・シティは2017−2018シーズン前に膨大な費用をかけて、守備陣の強化をしました。SBのカイル・ウォーカーとダニーロをそれぞれトットナムとレアルマドリードから、また難点といわれていたGKエデルソンをローマから同年に獲得しています。
それにもかかわらず守備の強化に費用をかけたいことは熾烈な優勝争いがあるからです。強豪クラブの優勝争いで重要になるのはシーズン終盤の守備力です。シーズン終盤は攻撃陣が疲労して攻撃力が低下することが理由になります。このように強豪クラブのサッカーの基本は守備にあるのです。
歴史を彩ったマンチェスターユナイテッド
マンチェスターユナイテッドは1878年、もともとは「ニュートン・ヒースL&YR FC」という名前で誕生しました。当時はランカシャー・アンド・ヨークシャー鉄道会社の職員たちによって結成されたクラブであり、労働者階級のクラブとして地域社会に深く根付いていました。
しかし、クラブは資金難に陥り、消滅の危機に瀕したことがあります。1902年、地元のビジネスマンたちの支援を受けて再建され、この時に現在の「マンチェスターユナイテッド」という名称が採用されました。
新しい名前を掲げたユナイテッドは、地元ファンの熱い声援を受けて徐々に成長を遂げ、1908年にはクラブ初のリーグ優勝を達成しました。この成功は、マンチェスターという街の誇りとなり、ユナイテッドの名を全国に知らしめるきっかけとなりました。さらに、翌年にはFAカップ初優勝も果たし、クラブの地位を確立しました。
しかし、その後もクラブは安定した時期ばかりではありませんでした。特に第二次世界大戦後の混乱期には、スタジアムの被害など多くの困難がありましたが、クラブは不屈の精神を見せ、戦後も再び頂点を目指しました。黎明期に築かれたクラブの精神と歴史は、後の黄金期を迎える基盤となったのです。
マンチェスターユナイテッドの全盛期といえば、サー・アレックス・ファーガソン監督の時代を外すことはできません。1986年に監督に就任したファーガソン氏は、クラブを新たな次元へと導きました。
1992年には若手選手を積極的に起用し、後に「クラス・オブ・92」と呼ばれる黄金世代が頭角を現しました。ライアン・ギグス、デイヴィッド・ベッカム、ポール・スコールズ、ガリー・ネヴィルといった選手たちは、ユナイテッドの象徴的存在となり、チームに多くのタイトルをもたらしました。
特筆すべきは、1998-1999シーズンに達成した「トレブル(三冠)」です。このシーズン、ユナイテッドはプレミアリーグ、FAカップ、そしてチャンピオンズリーグの3つのタイトルを同時に獲得する偉業を成し遂げました。
特にチャンピオンズリーグ決勝では、試合終了間際に劇的な逆転劇を演じ、バイエルン・ミュンヘンを下して優勝を果たしました。この試合は、世界中のサッカーファンに衝撃を与え、今でも語り継がれています。
全盛期には国内外で数々のトロフィーを獲得し、ファーガソン監督はユナイテッドに27年間在籍して数え切れない成功を収めました。特に2000年代におけるチェルシーやアーセナルとの熾烈な優勝争いは、サッカー史に残る名勝負として記憶されています。
2013年にファーガソン監督が勇退して以降、マンチェスターユナイテッドは再建の途上にあります。ファーガソン氏の後任として招聘されたデイヴィッド・モイーズ監督は期待されましたが、結果を残せずわずか1シーズンで退任しました。
その後もルイ・ファン・ハールやジョゼ・モウリーニョ、オーレ・グンナー・スールシャールといった名将が指揮を執りましたが、ファーガソン時代のような安定した成績を収めるには至りませんでした。
しかし、マンチェスターユナイテッドは依然として世界的なビッグクラブとしての存在感を放っています。若手選手の台頭や大型補強による戦力強化など、未来への希望は尽きていません。
特にアカデミー出身の選手を積極的に起用する姿勢は健在で、ファンは「次なる黄金世代」の誕生を期待しています。
また、クラブの経営面ではスポンサー契約やグローバル展開を積極的に進めており、経済的な基盤は依然として強固です。さらに、復活を目指す中で獲得したタイトルもあります。2017年のUEFAヨーロッパリーグ優勝はその象徴的な例であり、困難な時期にもクラブが挑戦を続けていることを示しています。